晩秋、仙台駅前のバス停でバスが来るのを待っていたら、白いものがゆらりゆらりと。
雪? あれ、飛んでるの?
なんだろう…
後日、同僚に話したところ「雪虫じゃないかな。」
「雪虫…」
北海道に赴任経験のある同僚には、お馴染みの冬の風物詩
「雪虫を見た1週間後に初雪となる」とも言われており
冬の到来を告げる虫だったんですね。
雪虫とは素敵な名前を付けたものです。
引用:ウェザーニュース
雪の妖精「雪虫」
引用:http://ord.yahoo.co.jp/
どこから飛んできたのか。白いフワフワしたものは、雪にしては消えないし、風に飛ばされているような弱々しさ。わたゴミか?とも思ってしまいました。
私にとって謎多き生物「雪虫」。
「雪虫」とはどんなものなのでしょう。
不思議な生態「雪虫」
雪虫とは、アブラムシのうち、白腺物質を分泌する腺があるものの総称で全長5㎜前後。尾が綿のようなものに包まれている。
他の地方では、綿虫、オオワタ、ユキンコ、しろばんば等と呼ばれている。
とても不思議な生態です。
木の幹で越冬・孵化、葉裏に寄生、初夏に木から木へ移動、夏は蟻と地中で共存、単為生殖で数世代を経て晩秋、木から木へ移動、産卵、越冬。激動の人生…虫生。
北海道大学の河野教授(昆虫学者)がその生態を解明。さすがです。
●春
春にヤチダモ、他にアオダモ、ハシドイで越冬した卵から第一世代のメスが孵化。
新芽の裏に寄生、栄養を吸って、5月頃に成熟し単為生殖により多数のメスが生まる。この第二世代のメスが成長し羽化すると有翅・羽をもった成虫になる。
ヤチダモ アオダモ ハシドイ
この木の葉が好きなんでしょうか。それとも眠り心地?
●初夏
この第二世代有翅の成虫は、ヤチダモからトドマツに飛び立ち、トドマツの幹の地際や地中の根に寄生。ここでも単為生殖で数世代を経過し増殖する。
このとき、蟻を利用し保護をしつつ地中の巣で共同生活。仲いいんですね。
トドマツ
●晩秋
秋が深まる頃になるとまた単為生殖で有翅の雌成虫が羽化し、これを産性虫と呼ぶ。
産性虫は、トドマツからヤチダモへ飛び立ち移動します。
ここでもやはり単為生殖により、今度は雌雄の有性虫の成虫が生まれす。
有性虫には口がなくオスは緑色、メスはオレンジ色をしています。
数日後、この雄雌は何も食べず交尾、樹皮に卵を産んで死んでしまいます。
この卵が越冬、春に孵化してまた1年生活がスタート。
生命って不思議ですね。
なんでこの木ってわかるんでしょうか。わかるんでしょうね。
匂い? 本能? DNA? 昆虫界では普通?
儚い命
有性虫の寿命は1週間。
雪虫は熱に弱く、人間の体温でも弱ってしまうと言います。
飛ぶ力も弱く風に流されてしまう。なのでなおさら雪のように見えるんですね。
人にぶつかっても死んでしまうようです。
服についていた場合は優しく振り落としてあげましょう。勢いよくすると潰れて白い蝋が線になって服にあとが残るそうなので。
儚くも、美しいですね。 アブラムシ…
引用:ウェザーニュース
雪虫大発生
初夏の移動はあまり目立たないのですが、晩秋の移動では数も多くなり、気候によって大発生することも。北海道ではこの群飛が見られると間もなく初雪が降ると言われています。
引用:http://search.yahoo.co.jp/
大量発生すると「雪が舞っているよう」とかではなく…大変
見通しが悪くなって危険ですね。
2019年・北海道で大量発生
札幌など北海道各地で大量発生。その数は平均の10倍ともいわれています。
視界を妨げるほどで「外に出れない」とうんざりしているという声多数。
大量発生した原因は、今年の暑さによるようです。5月に観測史上初の39.5℃を記録猛暑で、その後も春から秋まで気温の高い日が続いたという。専門家によると気温が高いと生育が進み爆発的に増えるんだそうです。
そして、今後も暑さが続けば、来年も大量発生の危険性ありとのこと。
対処法
群飛に出会ってしまったらあまりスピードを出さない。自転車は勢いよく走らないことがよい対策のようです。
マスクをして吸い込まないようにしてください。
服についた場合は振り落とす。